漢字ワールドものがたり 第2部 こわれた橋のむこう
第0話こわれた橋
六人は、字のもどった道しるべの前に立っていた。
「友と考え、作って進む」
ソラは、もう一度その言葉を読んだ。
四まいの字札のふちには、小さな線がほられている。正しい順番にならべたことで、線がつながり、一つの矢印になったのだ。
その矢印は、遠くの城の方をさしていた。
「ねえ、みんな。ぼく、あのお城まで行ってみたい!」
ソラが言うと、ルウが羽を広げた。
「うん! 道しるべが教えてくれた道だね」
「何があるのかな。楽しみ!」とアカリがわらった。
レイは道の先を見た。
「行ってみれば分かる。俺もたしかめたい」
「では、みんなで行ってみるとしよう」とシンが言った。
ソラはうなずいた。
道しるべのうらにあった、小さなふしぎなしるしのことも気になっている。あれが何をあらわすのか、まだ分からない。
元の世界へ帰る道だって、見つかっていない。
でも、この先には何があるのだろう。
ソラは、知らない道へ進むのが楽しみだった。

草の道は、ゆるやかに曲がりながらつづいていた。
しばらく歩くと、道が二つに分かれている場所に出た。
一つは、広くて歩きやすそうな道。もう一つは、草がのびて、入り口が見えにくくなっている。
「こっちの広い道かな?」
ソラが前をさすと、ルウが空から道を見た。
「お城も、こっちの方に見えるね」
「じゃあ、まずはこっちをたしかめよう」とソラは言った。
六人は広い道を進んだ。
少し行くと、さらさらと水の音が聞こえてきた。
「あれ? 川があるのかな」
ルウが先の方へ飛んでいく。
「ソラ! あそこに橋があるよ!」
「橋? じゃあ、向こうにわたれるね!」
ソラは足を早めた。
木でできた橋が、川の上にかかっていた。
その向こうには、また草の道がつづいている。
「やった! 道がつながってる!」
ところが、橋の手前まで来たソラは、思わず立ち止まった。
「あっ!」
橋のまん中には、大きなすき間があった。
木の板が何まいもなくなり、下を流れる川が見えている。

「これじゃ、わたれないよ!」
ソラは橋の手前から、こわれたところを見つめた。
向こう岸は、すぐそこに見える。
でも、橋のまん中には、足をのせる板がない。
レイも、橋を見て言った。
「このままじゃ通れないな」
「ぼくの道具でも、すぐには直せそうにないよ」とタクミが言った。
ソラは向こう岸を見た。
せっかくお城へつづく道を見つけたのに、ここから先へ行けない。
「うーん……。どうしたらいいんだろう」
ソラは来た道をふり向いた。
さっきの、二つに分かれた道。
あそこからは、橋がこわれているなんて、少しも分からなかった。
「ねえ、ルウ」
「なあに?」
「ぼくたちは、ここまで来たから橋がこわれてるって分かったよね」
「うん、そうだね」
「でも、あとから来た人は?」
ルウはソラの顔を見た。
「どうだろう。ソラはどう思う?」
「きっと、分からないと思う。あの分かれ道からだと、橋のまん中は見えなかったもん」
ソラは、もう一度橋を見た。
「知らずにこっちへ来たら、こまっちゃうよね」
アカリもうなずいた。
「そうだね。行く前に分かったらいいのに」
「ぼくたち、何かできないかな」
ソラは少し考えてから言った。
「お城へ行く道もさがしたい。でも、ここが通れないってことも、みんなに知らせたいんだ」
ルウがうれしそうに羽を上げた。
「だったら、まず分かれ道へもどってみよう!」
六人は、来た道を引き返した。
分かれ道まで来ると、ソラは草がのびたもう一つの道を見つめた。
「こっちは、どこへつづいているんだろう」
レイが道の先をさした。
「まだ分からない。たしかめてみよう」
ソラは一歩近づいた。
草の間には、細い道がつづいている。
お城へ行けるかどうかは、まだ分からない。
そのとき、ソラはふと、さっきまで立っていた古い道しるべを思い出した。
「あっ、そうだ!」
「どうしたの?」とルウが聞いた。
「ぼくたち、道しるべを直したよね。字をもどしたら、行く先が分かった」
「そうだったね」
「だったら、ここにも道しるべがあればいいんじゃない?」
ソラは二つの道を見くらべた。
「こっちの橋は通れないって、あとから来た人にも分かるようにするんだ」
「なるほど!」とタクミが言った。「それなら、作れるかもしれない!」
ソラはうれしくなった。
でも、まだ大切なことが一つある。
草にかくれた道が、どこへつづくのか分かっていないのだ。
「まずは、この道をたしかめよう!」
ソラが言うと、ルウが道の先へ羽を向けた。
六人は、草にかくれたもう一つの道を見つめた。
お城への冒険は、まだ始まったばかりだった。